サバサンド


 イスタンブールの旧市街と新市街を隔てる金角湾にかかるガラタ橋旧市街側のエミノニュ港近くのサバサンド売り。イスタンブール名物。鉄板で焼いたサバをパンにはさんだ素朴なファストフードだが、サバの塩焼きにしばらくありついていない身としては、かなりイケる味。4トルコ・リラ(約250円)。ガラタ橋の下の海鮮レストラン街には、水タバコカフェもぽつぽつある。

イズミルのバザールで


イスタンブールアンカラに次ぐトルコ第3の都市イズミルは、エーゲ海に面したモダンな雰囲気ただよう街。トルコの代表的ビールの名前にもなっているローマ時代の遺跡「エフェス遺跡」を訪ねるため、立ち寄った。バザールは庶民の活気であふれていた。鮮魚を売る店も多く、威勢のいいかけ声が響いていた。イズミル中心部の共和国広場から海沿いを貫くアタチュルク通りには、水タバコ・カフェも点在していた。

イスタンブールの韓国飯

トルコに行って、トルコ飯を食べずに何を食べたかというと、それは韓国飯である。イスタンブールには、「中東随一」と言う人もいる日本料理屋「優曇也」(うどんや)があり、ここもトライしたのだが、正直言っていまひとつだった。
それで、旧市街にある韓国料理店「ソウル(漢城)」へ。ここが期待以上の店だった。この店には、チャンポン麺があった。実は、このチャンポン麺、エジプト在住時足繁く通ったカイロの韓国料理店、「パクシー」の看板メニューで、よく食べたものだ。以来、好物となったが、韓国料理の中では、「韓国中華」というちょっと亜流のカテゴリーにあるため、お高くとまった韓国料理店のメニューにはないことも多く、日本の韓国料理店でもあまりお目にかかることがなかった。

上の写真ようなしろものだが、日本のチャンポン麺を猛烈に辛くしたようなものだが、細いうどんのような麺を使い、魚介のダシがきいているなかなか味わい深い料理。イスタンブールのこの店のチャンポン麺は、カイロ「パクシー」のものに劣らない、美味であった。この「ソウル」では、ほかにビビンバや、牛テールスープなども食べたがいずれも外れがなかった。盛りつけ、接客にも誠実さが感じられて、手を抜かない姿勢が現れていた。

それで、こちらが、「優曇也」のちらし寿司。悪くはないのだが、新鮮な魚介類があるトルコにしては、それを生かし切れていない気がした。板前さんはフィリピン人。「優曇也」は、5、6年前、新市街タクシム広場に面したこじまんまりとした店舗で営業をしていた時に何度が行ったことがある。今は、そこからそう遠くない「ポイントホテル」内に店舗を移し、「豊」(ゆたか)などに比べて比較的安価な店として、売り出し中のレストランではある。だが、他の料理も含めて、日本人からすると、日本料理へのこだわりがやや足りないような気がした。値段も「ソウル」のほうが2、3割ほど安い。

トルコとイランの飯

「イラン料理は空腹なときにはうまい、さほど空腹でないときには実にまずい」

こんな一文で始まる文章が、河出書房新社のイラン紹介本「アジア読本イラン」に収録されている。筆者は、イラン研究者の上岡弘二氏と吉枝聡子氏。実に的を得た指摘である。

この文章には、ロカンタ(食堂)に代表されるトルコ飯のうまさと多彩さも称賛されているが、今回の旅行でまさにそれを実感することになった。上の写真は、早朝テヘランからイスタンブールに入って、最初に食べた旧市街の変哲もないレストランで食べたケバブ。トラムのベヤジット駅に近い、イズミルとかいう店だったと思う。貴重なトルコでの一食だけに、本当は、日本飯か韓国飯でも食べたかったのだが、宿の近くの適当な店に飛び込んで、そこのおすすめとやらのミックス・ケバブを食べた。

これが、実に気がきいていた。鶏肉だの羊のミンチ肉のキョフテだの、骨付きラムだの、いろいろなケバブが盛りだくさん。なんというか、客に対する気遣いが、イランの外食とは比較にならない。トルコ滞在しょっぱなから、イランとトルコの落差をしみじみと感じてしまったのだった。外食のメニューに、トルコとイランの違いが如実に、現れているのでは、といろいろ考えされられた。


といいつつ、トルコではトルコ飯をあまり食べなかったのだが(やはり、日本式の白米がいいのです)、もう一軒、エーゲ海岸のトルコ第3の都市イズミルに近いエフェス遺跡に行った時に食べたキョフテ(上の写真)にも、これまた感動。遺跡の玄関となっている田舎町、セルチュクで、ふらっと入った店のだが、店内が非常にこぎれいで、店員の接客もすばらしい。顧客本位の姿勢が、にじみでているのだ。となれば、当然キョフテの味のほうもグッドである。もちろん、トルコのすべての外食店がそうだとは言えないだろうが、客の立場で料理を供するという、当たり前といえば当たり前の目線が、トルコの食堂にはあるような気がして、また、イランとの違いについて、考えされられた。

旧市街でのんびり水タバコ


トルコ・イスタンブール旧市街の「アリ・パシャ・メドレセ」と呼ばれる水タバコカフェが集まる一角。トラムのチャンベルタシュ駅の近く。イスタンブール大学からもほど近く、客は外国人観光客もいるが、地元の人たちが大勢を占めており、のんびりとした空気が流れている。筆者が通う店では、ウズベキスタン人が働いており、ペルシャ語を話す。壁にはキリムが飾られており、隣のモスクからはアザーンが聞こえてくるし、雰囲気がある。新市街側の海べりトプハーネの水タバコカフェ街も、すぐ近くにモスクがあるが、ただの偶然なのだろうか。水タバコとチャイで11トルコ・リラ。

作家高野秀行氏来訪

辺境探検作家の高野秀行氏が、イランを訪れた。高野氏は、早稲田大学探検部の出身で、在学中にアフリカ・コンゴの幻の怪物探索のルポルタージュ「幻獣ムベンベを追え」でデビューし、その後も世界各地の探検にいそしんでいる方である。
今回は、週刊「SPA!」に連載中の「イスラム飲酒紀行」の取材という。知人の「世界屠畜紀行」作者の内澤旬子氏から紹介いただき、テヘランで初お目見えとなった。
「飲酒」が肝の取材ということだったので、「アルメニアン・クラブ」なるレストランにご案内した。このレストランは、持ち込んだ酒で料理が楽しめる、という、イランではまことありがたい店なのだ。

秘蔵のハイネケンビールと、オーリトラリアの赤ワインを持ち込んだ。ワインのほうは、偶然ながら、ラベルには、「シーラーズ(シラーズ)」(イラン南部シーラーズ原産のブドウ品種)とかかれていた。
店員の指示で、ビール缶とワインボトルはテーブルの下に。非イスラム教徒が飲むぶんには問題ないようだが、あくまで目立たぬよう、ということのようだ。
 つまみ(オードブル)もなかなかしゃれていて、牛タンにチーズ、ポテトサラダ(イランでオリビエサラダという)。なかなかワインにあう。

「1年ほとんど酒を切らさない」自称「半アル中」の高野氏も、ビールとワイングラスを前に、満足げな表情。というか、もう目が座っているかも。

湾岸の島の中国市場

 海の向こうはドバイ、というイラン南部のペルシャ湾に浮かぶゲシュム島。ここは、イラン政府により自由貿易地域となっていて、イラン国内より安く外国製品が手に入る。目玉は、なんといっても中国製品。ゲシュム島のフェリー乗り場には、衣類や毛布を山ほど抱えたイラン人が、本土目指して続々戻ってくる。
 島の中心部には、別名「中国市場」と呼ばれるショッピングモールがある。テナントの多くが中国製品を扱う店舗。店員にも中国人が多い。

その一軒に入ってみると、筆者を中国人と思ったようで、中国語で話しかけられる。しかしこちらは「ニーハオ」程度。仕方ないので、東アジア人同士で、ペルシャ語で会話するという珍妙なことに。