民主主義とイスラム

先日、エジプト作家連合会長で、エジプト最古の新聞、アル・アハラム紙のコラムニストでもあるムハンマド・サルマーウィ氏の来日講演会にいってきた。

面白かったのは、民主主義とイスラムの共存に関する以下の発言。
 「イスラミック・デモクラシーなどというのはナンセンスだ」
 「民主主義は、何も西洋が発明したものではない。バイア(忠誠の誓い)はまさに民主主義といえるもの。民主主義とは普遍的なものだ」
 「西洋にも神権政治というものがあった。(ちなみに)イスラムはそうした方法をとらなかった」
 「『西洋流の民主主義』という言い方は間違い。民主主義とは普遍的なもの。ムスリムは21世紀流の民主主義を取っている」

個々の発言はやや矛盾しているようにも感じられるが、サルマーウィ氏に代表されるエジプト世俗派勢力の、イスラム勢力に対して抱く脅威の大きさが感じられた。

一方で、こんな発言も。
 「米ブッシュ大統領の「中東民主化」はスローガンにすぎない。エジプト議会政治はブッシュ大統領が生まれる前からの長い伝統がある」
 「米軍侵攻前のイラクのほうがより民主的だった」
 「米国が民主主義の手本を示しているといえるのか。中東のほうが民主主義の手本を示しうる。ブッシュ大統領が教えてくれるものは何もない」

米国などによる「押し付け」の民主主義に対する反発の強さもまたひしひしと感じられる氏の発言だった。