日本とアラブのジャーナリスト対話(5)


【2007年2月8日開催の日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議の内容紹介】
日本外務省が主催した「日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議」(Japan−Arab Islamic Journalists Meeting)の後半(第2部)。興味深い発言に絞って紹介する。

サウジアラビアのワリード記者は、「マスメディアの役割として、(任地国の)よい側面を代弁する、というものがある。ムハンマド風刺画問題が起きた時、在サウジアラビア日本大使館の文化担当アタッシェは、良く協力してくれた。『非難する』という反応をしてくれたからだ。ローカルな相互理解のよい例だろう」と述べた。
さらに、「一方で、米国の助教授がアラファト(前パレスチナ自治政府議長)はテロ組織の指導者という程度の認識しかなく、愕然としたことがある。米国議員(の認識)には、サウジの賞賛と、過激派の温床、との批判が並立している」との見解を示した。

この後、出川氏が、NHKのイラク報道の一例(宗派対立が反映されたイラクのテレビ局)を実際の番組を映して紹介。

エジプト人記者ガバラ氏は、「(日本メディアは)西洋メディアと同じ言葉を使って報道するのか?驚いた。イラクでは4人(奥、井ノ上、橋田、小川、香田の5氏?)の日本人が殺されたが、(そうした報道を通じて)アラブが日本と衝突しようしているように見える。事実に焦点を当ててほしい。アラブ、イスラムにマイナスの記事を見た時、ショックを受ける。我々は日本にマイナスの影響を与えていないのに」と反応した。

これに対し出川氏は「我々は、西欧と同じ言語は使っていない。テロ、としか呼べない状況もある。米メディアと同じ伝え方をしている訳ではない」と反論。池村氏も「テロとしか呼べない状況がある」と語った。

ヨルダン人記者アピール氏は、「罪のない人を殺すのはテロ、という考えには同意する。だが、解放運動とテロの区別をすべき」と述べた。

出川氏「NHKは、(イラク駐留米軍に対する攻撃に、テロという言葉は使っていない」と説明した。