日本とアラブのジャーナリスト対話(4)

【2007年2月8日開催の日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議の内容紹介】
ここで、会場から質問・意見が求められた。某アラブの駐日大使からは「こうした会議は好きではない。同じ話の繰り返しだ。パレスチナ解放運動がテロではない、という弁解をいつもしなければならない。平和的な宗教なのに、なぜテロが?という問いは、逆の誘導尋問のような気がする。アル・ジャジーラを聞くと真実が分かる。客観的な情報が出ているから」と厳しい声があがった。

さらに、ナジーブ・エルカシュ氏が、「こうしたイベントのタイトルから疑問を感じる。なぜ、福音派ジャーナリストとか、仏教ジャーナリストと言わないのにイスラム・ジャーナリストなのか?」と語った。さらに、(出川氏に対して)「アラブ世界が画一な世界と思っているから、そういう質問が出る。自己防衛的立場に追い込んだのはそちらのほうではないか?」と問いただした。

さらに、数人が質問した。「日本人記者は、(イスラム世界などに関する)勉強が必要だ。テロという言葉、もともとイスラム教徒とは関係のない言葉だった」などの内容だった。

これに対し出川氏は「テロという言葉を使うときは、神経を使っている。例えば、市場、バスの中など、一般市民を殺傷するケースでは、テロと言わざるを得ない。占領地の軍に対する攻撃の場合は、(テロという言葉は)ふさわしくない」と見解を述べた。さらに、「ハマスの指導者、ザハル氏にインタビューしたことがあった。彼は、テロという言葉に強く反発した。対して、アル・カーイダ関係者にインタビューした時には、テロには、いいテロと悪いテロがある、という言い方をして、テロという表現自体は否定しなかった」
「ジャーナリストは、100%の公正・中立、客観性はありえない。それを意識した上で、偏見やステロタイプを排除していく意識が必要だ」などと語った。