日本とアラブのジャーナリスト対話(3)

【2007年2月8日開催の日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議の内容紹介】
日本のマスメディアに対し、ガバラ氏は、「イスラム教徒、アラブ人は、日本に対して良いイメージを持っている。同様に、良いイメージを日本人も持ってほしい」とした上で「小さな記事でいいから、アラブ文化について書いてほしい。否定的な側面に焦点を当てるということではなく、いろいろなことを書いてほしい」と述べた。

さらにガバラ氏は、「私は(東京特派員だった時)日本について、良い面だけを書いた。対照的に、日本のメディアは、アラブの悪い面を書く。フェアな形で取材してほしい」と訴えた。

対して池村氏は「私も文化や社会・生活の記事を読みたい。それは可能だと思う」と述べた上で、ガバラ氏に対し「(日本のアラブ報道に否定的な側面が目立つとの)指摘は理解するが、例えば、ムハンマド風刺画問題が、なぜ、死者がでるような騒ぎに発展するのか?過激なイメージを与えてしまう」と質問した。

これに対しガバラ氏は、「そもそも(風刺画が)公表されなければ何も起こらなかった。衝突を求めるがごとく、(風刺画)が掲載された。(表現の)自由の尊重はもちろんのことだが、それは、他の文化を尊重しる場合においてだ。それがフェアなことだ。自衛隊イラク派遣について、それがイラクの人々のためではなく、日本が親米国だから、ということは分かっていたが記事に書かなかった。それと同じことをしてほしい。アラブの肯定的なイメージを作ってほしい」と述べた。

ムハンマド風刺画問題について出川氏は「預言者を画に描くのが、(イスラム世界では)罪であるということは理解している。こうした、イスラム教徒と非イスラム教徒の常識の違いを埋めていく必要がある」と指摘した。

日本の中東への関心について、アピール氏は、「日本のマスコミがやってくるのは、イラク戦争といった、大きなニュースがある時だけ。ふだん、アンマンにはいない。日常の中のニュースを積極的に探していない気がする」と指摘した。

ワリード氏は「文化・社会に関する情報提供について、双方が一層の努力をするべき」と語った。