エルサレムの穴蔵カフェ

 先日、5年ぶりにエルサレム再訪を果たした。真っ先に行きたいと思ったのは、歴史の香りぷんぷん漂う旧市街かと思いきや、ユダヤ人側新市街のとあるカフェ。繁華街ベン・イェフダ通りからもそう遠くない。シャワルマやファラーフェルといったアラブ料理を「中東料理」と称していかにもイスラエルのオリジナル料理のようにしてしまうだけあり、イスラエル側でも、水タバコを出すカフェは少なくない。

ここがユニークなのは、客席の構造。よく「穴蔵」と呼んでいたが、窓のない蔵のような室内にキリムを敷き詰めてあり、ゴロンと横になって水タバコを吸うのが、いつしか至福の時間ということになってしまった。
 第2次インティファーダのさなかの2001、2年前後。エルサレムでもパレスチナ過激派による「自爆テロ」が頻発していて、「こんな密閉空間で自爆されたら、ひとたまりもない」と、おそるおそる足を踏み入れていた。最近は、テロがほとんど起きていないとあって、他の客もかつてに比べて、心なしかリラックスしているようでもある。
 ここは穴蔵以外に普通のイス席もあり、ビールはベルギービールも各種そろっていて、中東にあって欧州を感じられる場所でもあった。