チャイハネの味

 BBCテレビ(英語版)でこの2月、「Taste of Iran」(イランの味)と題したイラン紀行番組を毎週土曜日の夜(イラン時間)に放映していて、きのうは第3回の南部シーラーズとヤズドの回だった。サーデク・サバというBBCペルシャ語ラジオ・テレビのコメンテーターとして知られるイラン人(ロンドン在住?)がパーソナリティで、この人は北西部ギラン州ラシュトの出身らしく、初回の訪問地はギラン州(第2回はイスファハン)だった。訪問した各地の食べ物だけでなく、歴史・文化紹介も織り交ぜながら興味深い内容となっている。ただ、料理も紹介されるが、ラシュトのクルチェ、イスファハンのギャズなど、菓子類の紹介が目立っている感じもするが・・・。

 さて、ここまでは枕。本題はチャイハネ(喫茶店)の話。筆者がチャイハネ行くのは、「どうせ水タバコ目的だろう」と思っているかも知れないが、果たして、おおむねそうである。でも、たまに食事を取ることもある。チャイハネの定番料理といえば、「アーブ・グーシュト」である(別名ディージー)。アーブ(水)、グーシュト(肉)という名の通り、壺状の食器で肉と野菜を煮込んだシチューというかスープというか、そんな感じのものだが、食べ方が面白い。汁だけを別のどんぶりに移し、壺の中身はすりこぎのような棒でぐちゃぐちゃにつぶして、ナンに包んで食べる。スープも飲むが、どちらかというと脇役の印象あり。でも人により、いろいろな食べ方があるようだ。私は、どちらかというと、中身の「ぐちゃぐちゃ」より、肉と野菜の滋味にあふれた汁のほうが好きなのだが・・・
 ちなみに写真のアーブ・グーシュトは、イラン西部ケルマンシャーで食べたもの。ケルマンシャーは、イランの少数派クルド人の町だが、民族は違えど、アーブ・グーシュトは、イランの国民料理なんだなあ、と実感した。