地図を読めないアラブ人?

カフェバグダッド第8弾のゲストだった、エジプト出身のアルモーメン・アブドーラさんが、月刊誌「ドバイビジネストゥデイ」に連載している、「アラブ人の取扱説明書」というコラム。最新の2月号では、「地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人!」とのタイトルで持論を展開している。

ある日本のテレビ局のロケでカイロ旧市街(いわゆるイスラミック・カイロのこと?)に行ったとき、探している場所が見つからず、例えば水タバコをふかしているおじさんなどに道を尋ねたところ、誰も地図を読めなかったという話。これは、エジプト経験者なら、誰でも身につまされる話。

だが、モーメン氏は、「アラブ人には、地図をうまく使える能力が備わっていないが、困った人をほっておけないという気持ちに関しては、彼らに勝るものはないだろう」と話を展開していく。これも確かにそうなのだ。その親切心が逆に事態を複雑にする可能性も含めて。相手の喜ぶ顔を見たい、というのが、アラブ人の行動原理の重要原理を占めているのは、間違いないだろう。

モーメン氏の記事のオチは、ロケ班に、年配の女性が道を訪ねたときのエピソード。さっきまで地図を読めないエジプト人にいらだっていた日本人ディレクターが、嬉々として、道を教えようとした、というのだ。モーメン氏は、人間同じ、といいたかったのだろうか。それはともかく、「ええ話」ではあった。

そのモーメン氏、これまで自称していた、「日本とアラブの間のインタプリター」ではあきたらなくなっているようだ。どうも、媒介者ではなく、もっと「表現者」でありたいと思っているようだ。