中東カフェ「踊るアラブ人」(1)


2月1日夜、東京・汐留の「キューバン・カフェ」(Cuban Cafe)で、アラブ音楽をテーマにした、「中東カフェ」イベントが行われた。題して「踊るアラブ人」。カフェバグダッド第一弾のゲストだった、中町信孝氏(早稲田大学助手)と、音楽評論家?のピーター・バラカン氏が招かれた。

「中東カフェ」は、中東と日本の相互理解促進のため文部科学省の助成を受けて進められている事業の一環。主催者は、酒井啓子東京外国語大学教授。「踊るアラブ人」は第12回目。

イベントでは、中町氏が自身のアラブ・ポップスとの関わりの進展をベースに、主にエジプトのビデオクリップを、基本的に発表年代順に並べて紹介(15曲)。さらに休憩をはさんで、ピーター・バラカン氏が自身の好きな、アラブ関連の曲(映像なし)を紹介した。最後に質疑応答といった流れ。

キューバに行ったことがないからなんともいえないが、会場のキューバン・カフェは、あまりキューバ風とは思わなかった。それはいいとして、中町氏とバラカン氏という取り合わせの「妙」がこのトークショーの面白味だったようだ。もちろん、全く畑違いのゲストを組み合わせてしまうと、まったく対話が成立しない、というリスクを抱えるわけだが、逆に、例えば中東専門家ばかりを集めると、話が「中に中に」とはいってしまい、広がりがなくなってしまうこともある。こうしたカフェの目的を考えれば、誤解を恐れずいえば、後者のような形式はとらないほうがいいのだろう。

今回のイベントは、自称「音楽バカ」のバラカン氏と、「エジポップ」という造語まで作った中町氏という筋金入りのマニア2人ではあったものの、2人の焦点がほどほどに違っていたため、面白いものになったのではないか。つまり、中町氏が、エジプト中心にアラブポップスのコアを重点に紹介した後で、バラカン氏が、アルジェリアなどの北アフリカ、あるいは欧州のアラブ音楽を紹介して、アラブ音楽の幅広さを示したというイメージだ。

中町氏紹介のビデオ・クリップは以下の15曲(続く)