バグダッド(バグダード)という響き

 師岡カリーマさんは、このほど出版された初のエッセイ集「恋するアラブ人」の中で、イラクの首都「バグダード」の音の響きの美しさについて、以下のように書いている。
バグダードという響きには、今日のイラクの悲惨を超越した芳しさがある・・・(中略)・・・バグダードという音と文字の連なりほどアラブ人の耳と目を魅了するものはない」
本ブログの名前は、バグダードの現在の日本語一般的表記「バグダッド」を冠した。とりたてて深い理由もなかったのだが、日本のアラビア語界の第一人者であるカリーマさんに、バグダードの響きが芳しいと指摘されれば、わがことのようにうれしい。
具体的にどう、芳しいのか、カリーマさんに、さらに聞いてみるとこんな答えが返ってきた。
「これは、私の個人的な印象ですけど、バグ、という(アラビア語の)音のつながりは、重く、その後も、思い音が来ることを予想させる。例えばボグド(憎しみ)など。だが、バグダードの場合、バグ、の後、いきなり空が開けたように軽い、ダ、という音が来る。この対照が美しい。もちろん、(アッバース朝最盛期のカリフである)ハールーン・アッラシードなど、バグダードの歴史をいろどったそうそうたる人々のイメージも影響していますが」
(写真は、バグダッドに今も残る、いにしえのバグダッドの遺構)