アイーダとシャワルマ(「アラブとの対話」雑感)

先週末、面白いシンポジウムが二つあった。「フリーランス・フェスティバル」と「アラブとの対話」。「フリーランス・フェスティバル」のほうについては、その性格上、姉妹ブログのカフェバグダッド・リブロで紹介する。

日本・アラブ双方の論客によるシンポジウム「アラブとの対話−−英知の共有を求めて」が9日、東京駅前の丸ビルホールで開かれた。国際交流基金と、読売新聞の共催。カフェバグダッドに以前来ていただいた師岡カリーマさんも、第二セッションのパネラーおよび冒頭講演者として参加した。

興味深い議論が随所にあったので、今後おりにふれ紹介していきたい。まず、さわりとして、西洋古典音楽通(ロンドン大学位取得)の師岡カリーマさんならではの話。
ヴェルディの代表的オペラ「アイーダ」の誕生秘話にからめ、相互理解のツボを指摘した。当時のエジプト総督スマイル・バシャに、カイロ・オペラハウスの初演用として、古代エジプトに題材をとった「アイーダ」の作曲を依頼されたヴェルディは当初、エジプトは「遅れた国」との偏見から、受注を断ろうとした。だが、筋書きを読んで態度を一変させ、「私はバカだった」と謝ったという。

そんな話から、カリーマさんは、「相互理解は、人間ひとりひとりの想像力を高めることが必要」との持論を展開した。

それで、思い出した。シャワルマ(トルコではドネルケバブ)である。エルサレムに住んで2年間、シャワルマに食べたことがない、という人がいて驚いたことがある。エルサレムの町でも、近くのパレスチナ自治区でも、いたるところにあふれていて、いやでも、頻繁に食べるはずなのにである。やっぱり、シャワルマのうまさを想像する人間力が必要
なのか。